さて、前回の続きなんだけど、なんで私がここの短大に入ったかと言うとズバリ、札幌に近いからだ。こんな不謹慎で浮ついた気持ちで短大に入った私を待ち受けていたのは、勤労青年の苦学生の学問に対する真摯な姿勢であった。勤労青年の苦学生の強烈なパンチであった。と書こうとしたけど、そりゃあやっぱ、話盛りすぎの捏造でしょう。彼らは、浮ついた不真面目な人間とも仲良く接してくれた。こんなこと言うとほんと語弊があるんだけど農家のあんちゃんねえちゃんと言ってもほんと、酪農家と水田農家じゃ雰囲気が全然違う。酪農家の子弟は一種独特の勤勉さとほとばしる情熱とを持っていて、それがここの三愛精神とぴったりリンクしていて、私なんぞは、うわっ、入る学校間違えた！って、心底後悔いたしました。また、酪農家の子弟じゃないけど、将来、酪農家を目指そうという若人も少なからずいて、江別近郊の酪農屋さんに実習に入った人達は、冬も実習を続けたまま、学校に通っている人たちも結構いて、その人たちなんかは、もう、さらに輪をかけて、情熱ほとばしり、勤勉さは、そりゃあもう半端なかった。そんな酪農屋さんにすっかり当てられちゃって、へんな劣等感をもったまま、学生時代を過ごしちゃったけど、その劣等感がいいモチベーションとなって勉強はしたなあ。金儲けの技術は身に付けられんかったけど、豊かに生きるとは何かということは、よく考えたような気がする。結局お米作りの勉強も農業のこともぜーんぶ中途半端で終わった学生時代だったけど、ここでの３年間は私の宝物ですよ。